先月辺りから、常に喉の奥が苦い味で満たされていたり、かがみ込んで下を向くとゲボッと苦い水(胃液)が上がってきたりしていた。
元々ストレス等が胃に来るので、その内収まるだろうと放っておいたのだけれど、とにかく収まらないので気持ちが悪いなあと先日皮膚科の予約通院日に、ついでに内科でも診察して貰った。
内科医の見立ては近頃TVCMなどでも話題の“逆流性食道炎”の顕著な症状であるということで、実際私もそう思うのだけれど
「念の為に胃カメラやってみますか?」
とアドバイスを受けた。
遂にこの日がやってきた。私は若い頃に十二指腸潰瘍で通院したこともあるが胃カメラは一度もない。また、いわゆる癌家系でもある。母から“次はアンタだから”と脅されたりもしている。その話をすると医者はそれなら一度やっておいた方がいいと言う。
やりましょう、一度やっておいた方がいいと自分でも思ってはいたのですよ、でも怖いじゃない(胃カメラが)。
両親は、下剤を飲んでもいつまでも白いンコが出たり、下剤でトイレに通いまくったりのバリウムよりは胃カメラの方がずっとラクだと言っていたので、それも後押しになった。
そして当日を迎えたのである。指示通りに昨晩20時以降は水しか喉を通していない。今朝は水すら飲んでいない。空腹は昨晩通り過ぎて感じなくなっている。
胃カメラ自体は9時半からであるが、受付は20分前に済ませろと言う。8時過ぎに起きてまだ寝ている家人を置いて家を出た。
病院に着いたら、受付に胃カメラの予約票を出し、自動の血圧計測器で血圧を測る。緊張しているせいか異常に血圧が高く脈拍も速い。
検査自体は10分程度だと事前に貰った説明書には書いてあったが、検査前の準備が多い。
先ず、胃液の泡を押さえる為という少量の水薬を飲まされる。これは特に味らしい味もなくただ飲む。
次に胃カメラが入りやすくなるようにとゼリー状の麻酔薬を“喉に溜めて5分間我慢する”という難関がやってきた。口の奥に入れる為に看護師は針のない注射器に入れたものを流し込んでくれた。喉に来たものは飲み込んでしまうのが自然な反応なのだが、うがいをするでもなく喉に溜めたままにするのはなかなか難しい。薬自体は飲み込んでも全く問題のないものだそうだが“味が不味いので飲まない方が良い”のだそうだ。
その内、麻酔が効いてきて歯医者の麻酔を受けた時のような痺れた感じが口の中に広がってくる。これ、喉じゃなくて舌や口の中に効いている感じがする。
タイマーできっちり5分計測の後に薬を吐き出し、次に看護師から胃の働きを弱めるという筋肉注射をされる。どんなんでも注射は嫌いだ。でも、何か口の中の麻酔のせいかボンヤリしてきた。
そういえば、総合病院なので検査着にでも着替えさせられるのかと思ったら着てきた服そのままだった。だから“ゆったりとした服装で来院”という指示があったのか。
検査台という簡単なベッドに横になり、喉にスプレーの麻酔をされた。そこで初めて検査の為に医師が現れる。
口を閉じられないように、かつ胃カメラを入れる穴の開いたプラスチック製のおしゃぶりを咥えさせられた。もう逃げられない。
医者の肩越しにモニタが見える。そこに私の腹の中が映し出されるという。看護師も滅多に見られないものだから、眺めているといいというようなことを言っていた。
「はい、カメラを入れますよ。」
ゲフッ、初っぱなからむせる。いきなり喉に異物感があって押された勢いで思わず顔を背けて医師から注意を受けた。だって喉を弄られたらゲロってなるよ。
そこからは、もうとてもモニタを見ている場合ではない。喉に触れる異物感と、こみ上げる嘔吐感との闘い。せんせい、見れば判ると思いますが扁桃腺肥大で喉が狭いのでお手柔らかに。
私は扁桃腺肥大で風邪をひくと必ず扁桃腺同士がくっつきそうになるほど腫れたが、高熱が出ないので無理に扁桃腺を切除する必要はないと言われて今も大事に持っている。そのせいなのか子供の頃から、健康診断で喉の奥を見る為に“ヘラ”で舌を押さえて喉を開けられると必ず“ゲヒョ、ゲロ、ゴフッ!”と、なっていた。
カメラは徐々に身体の奥に入っていく感覚だけがある。麻酔が効いてきたのか、慣れたのか敏感な部分に触れなかったのか、しばらく腹の中を何かが動く感覚だけになっていた。ああ、やっと落ち着いたと思った頃に
「ゲロ、ゴ、ゴ、ゴフッ…」
やっぱり駄目だった。
本当に意外と短時間でカメラは喉から抜かれた。起き上がり、少し落ち着いた所でカメラの画像を見ながら医師の説明がある。
ここが食道で、ここから胃に入って…とテレビなどでしか見たことのない人間の内臓の画像を見せられる。本当にこれが自分の持ち物なのだろうか。内臓って想像以上に肌色なんだなというのが感想だった。
「特に目立って傷んでいる所はなくて…むしろ、綺麗なくらいなんですよね。」
あ、やっぱり?素人目に見ても何か表面がスッキリしていると思ったのだ。テレビや本で見た病気の人の内臓壁は、もっと赤黒かったり明らかに壁に凹凸がある。
所々赤みの強い所は表面が荒れている証拠なのだそうだが、問題のない程度なのだそうだ。ただ、傷んでいなくても胃液が上がりやすい体質などはあるので、症状が出ているなら薬をしばらく続けた方がいいという診断であった。
医師と検査室の人に御礼を言って、会計を待つ間に検査室を出る前に手渡されたプリントを見た。
麻酔が効いているので1時間くらいは病院で休めと、受ける前のプリントにも書いてあったなあ…と思いながら眺めていると、時々ピントが合わなくなって字が読めなくなる。
待合室のテレビの画面も少しボンヤリ見える。本当に影響があるものらしい。
会計を済ませてから、携帯電話を使用して良いエリアに移動して、家人と心配してくれていた友人にメールで報告したりして時間を潰したのだが、やっぱりしばらく眼が使い物にならなかった。
色々と心配したものの、安心して正月を迎えられることにホッとしているが、初めての胃カメラは実に辛い体験であった。
元々ストレス等が胃に来るので、その内収まるだろうと放っておいたのだけれど、とにかく収まらないので気持ちが悪いなあと先日皮膚科の予約通院日に、ついでに内科でも診察して貰った。
内科医の見立ては近頃TVCMなどでも話題の“逆流性食道炎”の顕著な症状であるということで、実際私もそう思うのだけれど
「念の為に胃カメラやってみますか?」
とアドバイスを受けた。
遂にこの日がやってきた。私は若い頃に十二指腸潰瘍で通院したこともあるが胃カメラは一度もない。また、いわゆる癌家系でもある。母から“次はアンタだから”と脅されたりもしている。その話をすると医者はそれなら一度やっておいた方がいいと言う。
やりましょう、一度やっておいた方がいいと自分でも思ってはいたのですよ、でも怖いじゃない(胃カメラが)。
両親は、下剤を飲んでもいつまでも白いンコが出たり、下剤でトイレに通いまくったりのバリウムよりは胃カメラの方がずっとラクだと言っていたので、それも後押しになった。
そして当日を迎えたのである。指示通りに昨晩20時以降は水しか喉を通していない。今朝は水すら飲んでいない。空腹は昨晩通り過ぎて感じなくなっている。
胃カメラ自体は9時半からであるが、受付は20分前に済ませろと言う。8時過ぎに起きてまだ寝ている家人を置いて家を出た。
病院に着いたら、受付に胃カメラの予約票を出し、自動の血圧計測器で血圧を測る。緊張しているせいか異常に血圧が高く脈拍も速い。
検査自体は10分程度だと事前に貰った説明書には書いてあったが、検査前の準備が多い。
先ず、胃液の泡を押さえる為という少量の水薬を飲まされる。これは特に味らしい味もなくただ飲む。
次に胃カメラが入りやすくなるようにとゼリー状の麻酔薬を“喉に溜めて5分間我慢する”という難関がやってきた。口の奥に入れる為に看護師は針のない注射器に入れたものを流し込んでくれた。喉に来たものは飲み込んでしまうのが自然な反応なのだが、うがいをするでもなく喉に溜めたままにするのはなかなか難しい。薬自体は飲み込んでも全く問題のないものだそうだが“味が不味いので飲まない方が良い”のだそうだ。
その内、麻酔が効いてきて歯医者の麻酔を受けた時のような痺れた感じが口の中に広がってくる。これ、喉じゃなくて舌や口の中に効いている感じがする。
タイマーできっちり5分計測の後に薬を吐き出し、次に看護師から胃の働きを弱めるという筋肉注射をされる。どんなんでも注射は嫌いだ。でも、何か口の中の麻酔のせいかボンヤリしてきた。
そういえば、総合病院なので検査着にでも着替えさせられるのかと思ったら着てきた服そのままだった。だから“ゆったりとした服装で来院”という指示があったのか。
検査台という簡単なベッドに横になり、喉にスプレーの麻酔をされた。そこで初めて検査の為に医師が現れる。
口を閉じられないように、かつ胃カメラを入れる穴の開いたプラスチック製のおしゃぶりを咥えさせられた。もう逃げられない。
医者の肩越しにモニタが見える。そこに私の腹の中が映し出されるという。看護師も滅多に見られないものだから、眺めているといいというようなことを言っていた。
「はい、カメラを入れますよ。」
ゲフッ、初っぱなからむせる。いきなり喉に異物感があって押された勢いで思わず顔を背けて医師から注意を受けた。だって喉を弄られたらゲロってなるよ。
そこからは、もうとてもモニタを見ている場合ではない。喉に触れる異物感と、こみ上げる嘔吐感との闘い。せんせい、見れば判ると思いますが扁桃腺肥大で喉が狭いのでお手柔らかに。
私は扁桃腺肥大で風邪をひくと必ず扁桃腺同士がくっつきそうになるほど腫れたが、高熱が出ないので無理に扁桃腺を切除する必要はないと言われて今も大事に持っている。そのせいなのか子供の頃から、健康診断で喉の奥を見る為に“ヘラ”で舌を押さえて喉を開けられると必ず“ゲヒョ、ゲロ、ゴフッ!”と、なっていた。
カメラは徐々に身体の奥に入っていく感覚だけがある。麻酔が効いてきたのか、慣れたのか敏感な部分に触れなかったのか、しばらく腹の中を何かが動く感覚だけになっていた。ああ、やっと落ち着いたと思った頃に
「ゲロ、ゴ、ゴ、ゴフッ…」
やっぱり駄目だった。
本当に意外と短時間でカメラは喉から抜かれた。起き上がり、少し落ち着いた所でカメラの画像を見ながら医師の説明がある。
ここが食道で、ここから胃に入って…とテレビなどでしか見たことのない人間の内臓の画像を見せられる。本当にこれが自分の持ち物なのだろうか。内臓って想像以上に肌色なんだなというのが感想だった。
「特に目立って傷んでいる所はなくて…むしろ、綺麗なくらいなんですよね。」
あ、やっぱり?素人目に見ても何か表面がスッキリしていると思ったのだ。テレビや本で見た病気の人の内臓壁は、もっと赤黒かったり明らかに壁に凹凸がある。
所々赤みの強い所は表面が荒れている証拠なのだそうだが、問題のない程度なのだそうだ。ただ、傷んでいなくても胃液が上がりやすい体質などはあるので、症状が出ているなら薬をしばらく続けた方がいいという診断であった。
医師と検査室の人に御礼を言って、会計を待つ間に検査室を出る前に手渡されたプリントを見た。
麻酔が効いているので1時間くらいは病院で休めと、受ける前のプリントにも書いてあったなあ…と思いながら眺めていると、時々ピントが合わなくなって字が読めなくなる。
待合室のテレビの画面も少しボンヤリ見える。本当に影響があるものらしい。
会計を済ませてから、携帯電話を使用して良いエリアに移動して、家人と心配してくれていた友人にメールで報告したりして時間を潰したのだが、やっぱりしばらく眼が使い物にならなかった。
色々と心配したものの、安心して正月を迎えられることにホッとしているが、初めての胃カメラは実に辛い体験であった。


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