布施弁天

2013/03/26

寺社

隣県とはいえ、車で少し走って利根川を渡ればすぐ、と思っているからなかなか重い腰を上げなかった。同じ県内の寺社より余程近い所にある、千葉県柏市布施にある“紅龍山 東海寺(布施弁天)”へ、一人でドライブ。
駐車場に大きな鳥居がある。神仏習合などの名残かと思うが実に新しい。
ただ、入口付近にあった境内案内図によると鳥居まで入っているし、元々は弁才天は仏教の出自であるが、日本では七福神にも入る神道の神でもあるので、鳥居があってもおかしくはないのか。
弁天様には七福神のイメージが強く、いわゆる“神様”だと近年まで思っていた。

さて、いよいよ楼門から中へ。

“最勝閣”という楼門は総欅二階建てとのことで、装飾などは丁寧だが全体が渋い。
しかし、何か変わった形に既視感を覚えていたら、お寺のパンフに“竜宮城の門のような形”とあった。それだ!

四天王は、極彩色。
渋めの門と四天王の色彩の対比が、いいのかもしれない。

そして、眼前には周りの桜が引き立て役のように華々しい本堂が。

いや、もう、華やかすぎて表現する言葉が見つからないというのが正直な気持ち。
「スゲー、きれー…」
って、思わず声に出た。

本堂内は勿論撮影禁止の看板があるので、パンフレットに掲載の本尊“弁財天”様を。
関東三弁天の一つということだが、弁天様のお姿としては独特の表現だなあと思う。

鐘楼も特徴的だった。
説明によると、軒下に十二支などの彫刻が配置されていたり、柱の配置などが独創的なのだそうだ

軒下の写真を撮ってはみたが、ここで御覧になって判別して戴けそうなものはこれくらいだった。

読みやすいように逆さにしてみると
“諸行無常”の文字が読み取って戴けるだろうか。その他“是生滅法”“生滅滅己”“寂滅為楽”という文字があった。

三重塔の第一層には不動明王が、おられる。
何というか、本当にここは境内が華やかというか眩しい。

それにしても、いい時期のいい天気の日に出掛けられたので、花見もできた。
やはり、日本の春は桜だねえ。

さて、少し離れた場所に“薬師如来”や“安産不動明王”がおられる場所があるそうなのだが、その前に境内と道路を挟んだ向かいの“布施妙見”をお参りすることにした。

星好きとしては何となく心躍るが、木々に護られた小高い丘の上にある。

参道らしき敷石の所々に星を思わせるものがあり、頂上に妙見様がおられた。

さて、石垣の上に咲く椿を眺めたりしながら、さっき車で走ってきた道を少し歩いて戻る。

東海寺の霊園などもすぐそばにあるし、古くからこの辺りは東海寺の土地であったのかもしれない。
それにしても、なんで離れにおられるのだろうか。
新四国相馬霊場 第六七番札所であるところの御本尊、薬師如来。

そして、初めて耳にする“安産不動明王”
強い子が生まれてきそうで、良いのかもしれない。

それにしても、この離れは離れで庭も手入れが行き届いていたり、弘法大師を祀る大師堂の看板(?)に蝉の抜け殻が残っていたりと、穏やかな空気が流れていた。
再び来た道を戻り、駐車場で車に乗り込む。実はこの後、寄ってみたい所があった。

“竹林山 南龍寺”というのだろうか。

東海寺へ行く時に前を通ったのだが、この門がとても渋くて魅かれたので、是非帰りに寄れたらと思って居たのだ。
本堂も渋い。
渋いというか、先程の布施弁天の観光名所的な華やかさ(それが悪いとかそういう意味合いではなく)と違い、古くから地元の檀家やご近所と付き合いのありそうな根付いた感じの静寂感を感じる。
お参りを済ませてから、靴を脱いで“土足厳禁”と書かれた段を上がって、ガラス戸の閉まった外から本堂の中を見せて戴いた。外の渋さからは少し想像しなかった、金色をイメージさせる本堂が綺麗だった。

寺務所へ行きインターフォンで御朱印をお願いしたいと言うと、中へどうぞと言われたので引き戸を開けて入った。大分御年を召された男性が座しておられる。
朱印帳を手渡すと、座布団の置いてある所へ座るように促されて待つことになった。あまり寄る人が少ないのか“何とかの印と、何とかと……”などと口頭で確認しながら押して下さった。
朱印帳を返されながら、“あ、そうだ、”と、思い出したように他の箱をバタバタと取り出す。
「こういう、紙に書かれたものもあったのですが…」
ああ、そうか、準備して授与ものもあったのだけれど、私が朱印帳を渡したからそっちに押して下さったのか。
「そちらも是非お願いします。」
右が、その場で押して下さったもの。左が準備してあって日付だけ書き加えてくださったもの。それぞれに味があるじゃないか。

納経もせずに、お参りだけしてお金を払って戴いて歩いているのだから文句を言ってはいけないと思うが、先にお参りした布施弁天の御朱印は、どうやら朱印は押して下さったもののようだが、文字は印刷。お守りなどの授与品を授かる所で戴いた。
しかも、お参りした日付も書いて戴けなかった(勿論、頼んでみたのだが断られた)。
ちょっとだけ残念。