刀を観に足利まで

2025/02/20

ゲーム 芸術鑑賞 寺社

東武線の特急に乗るのは人生2度目だ(多分)。 何となく懐かしい雰囲気の車両“りょうもう”。
北千住駅から約1時間ほどで足利市駅へ到着。先に到着していた友人と合流。
少し淋しい印象の駅前だが、歓迎されているのはよく判る。そして天候に恵まれたのは幸いだ。

JR両毛線の足利駅は街の中らしいのだが、東武線の駅からは渡良瀬川を越えなければならない。

本当なら中橋という、カッコいいアーチ橋を渡っていくのだが、現在工事中。

人と自転車は隣に掛けられた仮の橋を渡るようになっている。

大きな工事現場で大きな作業機械を見るのはワクワクするので、これはこれで貴重な光景を見せて貰っている。
近年の異常な大雨による渡良瀬川増水によって越水の危険性があるので、堤防を嵩上げして橋を架け替える(移動する)工事なのだそうだ。

JR両毛線の線路を越えてようやく本日の目的地へ到着。

足利市立美術館では、“山姥切国広展ー名匠の軌跡、名刀の誕生ー”が開催されている。

“山姥切国広”というのは、安土桃山時代の刀工・国広が打った刀だ。

山姥切というというのは例によって、この刀で山姥を斬り捨てたという逸話があるからだ。

国広は日向国(宮崎県)で生まれて刀工になったが主家が没落し、諸国を廻りながら刀工を続けて下野国(栃木県)足利学校へ一時期腰を据える。

足利長尾氏当主・長尾顕長の依頼で、顕長が北条氏政から賜った長船長義の一振りの刀(本作長義)の“写し”を打つことになる。

刀の写しというのは珍しいことではないようで、元になる刀を騙る模造品や贋作とは違い、敬意をもって写し取る、似た刀を打つ、ということだそうだ。

今回の目玉は、名古屋の徳川美術館が所蔵している“本作長義”も展示されていることだ。

実際に見較べてみたが、似て非なるというよりは“そんなに似てはいないな”という印象だった。どちらの刀もきれいな形をしていて、写した刀と写された刀はそれぞれがやはり違うものだなと。

その他にも国広が打った刀の展示が幾つもあって、見甲斐があった。

美術展の観覧が1時間毎の区切りで事前予約制だったので、やたらと混雑することがなくゆったりと観て回れたのはとてもありがたかった。

(展覧会リーフレットより) 

一振りの刀である山姥切国広が有名になったきっかけというか、刀というものが広く話題に挙がるようになったり少し前の刀剣ブームとか刀剣女子などと言われる元になったのは、“刀剣乱舞ONLINE”というゲームの流行だろう。

とても大雑把な書き方をすると、(歴史上の人物などが使ったり伝説があるような)刀が人間の姿になって(擬人化)、日本の歴史を変えようと企む悪者と闘う。という内容だ。

今年で10周年というゲームが始まった頃から存在を知ってはいたが、育成シミュレーションという苦手なジャンルというだけで避けていたのだけれど、昨年春から始めてしまった。

その、刀剣乱舞ONLINEとのコラボは今回も勿論開催されている。

ポスターやパネルといったものが集められた部屋で写真撮影ができる。通路などではなくて1つの部屋に集めてある辺りは手慣れているように思った。

足利の街を回るスタンプラリーも開催されていて、ゆかりの場所を訪れることもお薦めされている。

じゃあ、行きますか。

足利伊勢神社

 外からの想像よりも境内が広い。木々に囲まれていて静謐な印象。

“伊勢宮”の文字がカッコいい。

 

もともとは足利氏の館だったので周りに堀や土塁があるという、真言宗 鑁阿寺(ばんなじ)。

楼門が重厚な感じで素敵だなあと眺めた。

見るからに立派な本堂は国宝に指定されている。

境内に梅の香りが漂っていて、春だねえとしみじみする。 気温は低めなのだろうけれど、陽射しがあるので過ごしやすい。

御本尊の大日如来や観音様、今年の干支の守り本尊の御朱印を戴く。

今回訪れる為に色々調べた時に知ったのだが、元々足利氏の館(居城)だったのでここは城跡なのだ。

御城印は集めていないのだけれど、これを機会に……あまりお城に行かないか。

そして、寺宝の刀“髭切丸”の御刀印を戴いた。

過日、東京国立博物館で開催中の大覚寺展で観た、京都北野天満宮が所蔵している“髭切”という刀との関係だが、足利氏は源氏の一族であること、だが源氏の一族はとても多いこと、時代や持ち主などによって多くの物語を経て名前が変わる刀があるということなどを読むと、源氏に伝わる髭切という名前の別々の刀であって、“刀剣乱舞ONLINE”に出てくる髭切は北野天満宮の髭切らしいということなのかなという理解に落ち着いた。

ちなみに愛知県西尾市の御剱八幡宮も髭切が神宝となっているのだそうだ。


古くから織物の産地である足利の機織りの神社。

足利織姫神社

境内まで229段の階段を上っていく。

所々に残り段数と励ましの言葉がある。

153段“いこうみんなで織姫神社”、118段“いいわ 眺望 関東平野” 、75段“なごむ心で宮参り”、38段“宮にむかってもう一息”

ついでに休憩をしながら上れる。

狛犬は筋骨隆々な印象。
こちらの七色の鳥居が続く山道の方を通った友人は、階段よりもラクに感じたそうだ。

さあ、境内が見えたぞー(瀕死)

到着。

 この眺望で一気に疲労が飛ぶような気がする(脚を震わせながら)。

ここもスタンプラリーのスタンプ設置場所なので、お参りをした後でスタンプ、そして直書きの御朱印を戴いた。

足利は城下町だから寺社がとても多く、今回脚を伸ばせなかった“あしかがフラワーパーク”の周りにも興味深い寺院があるようで、いつか寺社巡りに来たいものだと思う。

(そんなことばかり言って果たせていない場所が多々ある)

 

街の中は今回の展覧会に協力店として参加している店舗が多く、のぼりが立っているだけでも賑やかに見える。

昼食にした“和cafeひなたや”の“足利長尾さんちのおでん”
ソーセージが入っているのが懐かしく美味しかった。身体が温まった。

友人がキャッチャーで捕獲してくれた、ぬいぐるみ山姥切国広を連れてきて良かった(のか?)。

“もちもちぎゅうひの やまんばぎり”

 

足利土産に人気の“舟定”の芋羊羹を買いに寄ったら、店の中には撮影スポット。

芋羊羹は、芋そのもののような素朴な美味しさだった。

 

佐野市で“開華”を醸す第一酒造が作った山姥切国広展コラボ酒を買いに行った“丸川屋長谷川商店”にて。

店主ご夫婦がとても気さくで色々と話ができて楽しかった。

後日いただきますよ。


“カフェ ラボ ハマダ”にて伯仲・渡良瀬橋カレーを夕食に戴く。

刀剣クッキーは、ちょっと笑ってしまう。美味しかった。

 

さあ、よく遊んだし、東武特急“リバティりょうもう”で帰るか。

(これは下り方面へ来た列車)

 

それなりに観て歩いたり買い物をしたりと時間がかかって、スタンプラリーは半分をクリア。


 山姥切国広展に協賛している店舗などで戴いたポストカードやらシールやら。

収納に場所を取らなくていいので、展覧会グッズは例によってクリアファイル。

欲しかった御刀印が、今日の分が売り切れてしまって入手出来なかったことが結構心残り。

刀を観るために足利まで行くなんて、自分でも驚きだよ。

そうか、これが推し活というやつか。


《追記》2025年5月31日

後日、当日売り切れていて購入できなかった御刀印が公式で受注販売されたので注文し、27日に届いた。

勢いで、当日にはちょっと高いなあと思って買わなかった朱印帳も注文してしまったが、とても美しいものが届いたので買って良かったかな。

今後御刀印を買うことがあるかもしれないから、ここに貼っていくようにしよう。