刀という芸術品 其の五

2026/07/14

東京国立博物館・平成館での特別展“空海と真言の名宝”を観てから、本館へ移動した。猛暑や極寒の季節には中の通路で移動できるのがとてもありがたい。

今、本館1階の刀剣類の展示室で、一度は観ておきたいと思っていた刀が展示されている。

東京国立博物館では多くの刀剣類を所蔵しているので数ヶ月ごとに展示替えをしているが、観たいと思っている刀の展示時期のタイミングを外してしまったり、なかなか展示されないものもある。

[国宝 太刀 古備前包平(名物 大包平) 銘 備前国包平作]平安時代・12世紀

例によって例のごとく、刀剣乱舞に出てくる刀だ。

どっしり感があるが全体の姿形が美しくて、カッコいい刀という印象だった。


[国宝 相州貞宗(名物 亀甲貞宗)]鎌倉~南北朝時代・14世紀

有名な刀工、正宗の弟子であり子である貞宗の作。

昨年も観に来たつもりでいたが、一昨年(2024)7月に観たきりだったようだ。何度観ても綺麗なものは綺麗だ。ホッソリと優美な印象がある。


[重要文化財 相州正宗(名物 石田正宗)]鎌倉時代・14世紀

石田三成が所有したことからこの名前がついた。こちらは昨年観ていた。

正宗と貞宗の刀を続けて観ると、何となく傾向は似ているのかなと思ったりするけれど、“知っている”からそう思ってしまうのかもしれないとも思う。

 

[短刀 粟田口吉光(名物 岡山籐四郎)銘 吉光]鎌倉時代・13世紀

 岡山城主・小早川秀秋が所持したことからその名前がついている。

刀工の吉光の通称が藤四郎であるので、吉光の刀は藤四郎の名前で呼ばれるようだが、何故藤四郎なのか。どうも詳細は不明らしく、検索しても“通称である”ことしか出てこない。

刀工名が吉光で本名とか俗名などが藤四郎とかそういう流れの模様。


[重要文化財 刀 堀川国安 銘 国安]安土桃山時代・16~17世紀

京都・一条堀川に居を構えた堀川国広の弟子だが、現存する刀剣が多くないのだそうだ。

説明に“反りが浅い”と書いてあったが、言われてみると他の刀ほど反っていないことに気付く。だからどうなのかは、私のような刀剣シロートにはまだ難しい。


[刀 水心子正秀 銘 川部儀八郎藤原正秀(花押) 寛政十年二月廿九日]江戸時代・寛政10年

江戸三作といわれる江戸時代後期の“新々刀”の祖。鍛刀の他に理論書などの著述や刀の復古論・実用論などを提唱したそうだ。


[重要文化財 脇指 式部丞信国 銘 奉冨士本宮 源式部丞信国 一期一腰 応永卅亖年二月日]

室町時代・応永34年 静岡・富士山本宮浅間大社蔵

初めて知った刀工の名前。刀身彫刻を得意とする京都の刀工だそうだ。

富士山本宮浅間大社に奉納された刀で、樋の部分に“冨士浅間大菩薩”と浮彫がある。

刀身彫刻が入るだけでとてもカッコいい印象になる、と思ってしまう。 

富士山本宮浅間大社へは、随分前にお参りに行ったなあと思い返す。 


[刀 月山雄安国宗 銘 月山雄安国宗 永正十八年二月吉日]

室町時代・永正十八年

出羽国(山形県)寒河江に居住した月山鍛冶によるもの。月山鍛冶というのも初めてだ。

銘は、月山鍛冶の雄安と国宗の合作ということなのだそうだ。


2階の展示室にも是非観たいと思っていた刀が展示されている。

2階の展示室は1階よりも室内の写り込みが激しくなってしまい、明るさを編集したが粗い画像が多くなってしまった。とても使えない写真もあった。(要するに撮影が下手)

[重要文化財 太刀 大和物(号 獅子王)]平安時代・12世紀

源頼政が鵺退治の功績に対して天皇から賜ったものという伝承があって、“獅子王”と呼ばれている。

鵺退治に使った刀だと思い込んでいたが、鵺退治の報償品だったのだな。 

細身でシュルンとしているなあと思ったが、説明によると細身で反りが強い形状は平安時代の太刀の特徴ということだ。

こういうスタイルが好まれた、流行りだったのか。


[重要文化財 黒漆太刀(太刀 大和物(号 獅子王)の拵)]鎌倉時代・13~14世紀

全体に黒漆を塗った刀装は中世において日常的に使用されていたものなので、刀身と併せて現存する例は稀なのだと説明があった。

それも、ボロボロとかではなくてこれくらいの状態で残されていたというのは、大事にされてきたのだ。或いは、どこかに仕舞いっぱなしになっていたのか。


[太刀 青江次吉]南北朝時代・14世紀

 直線の刃文で、キリッとした印象のきれいな刀。


[梨地菊桐紋散糸巻太刀(太刀 青江次吉の拵)]江戸時代・18世紀

上の青江次吉の太刀の刀装で、享保20年に徳川吉宗から桜町天皇へ献上されたものとある。


[菊造腰刀]南北朝~室町時代・14~15世紀

南北朝時代に流行した豪華な造りの刀装。細工が細やかで、造られた頃には金ピカだったのだろうなあ。


[黒檀地花鳥蒔絵螺鈿脇指 金具:後藤一乗 螺鈿:中野一跡]江戸時代・19世紀

鞘は黒檀、金具は金無垢、それに蒔絵と螺鈿細工。実に華やか。

幕末に孝明天皇の命で誂えられたものとされている。

 

刀の刀装(拵)というのも、凝ったものが沢山あって美術品として楽しめるものも多い。

今日も沢山好きなものを拝むことができて満足だ。